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すきまから覗き込む、記憶の断片。

この世界に存在する事象は、常に移ろい、そしていつかは消失する。
今、目の前に確かに存在しているはずのものもまた、いつしか膨大な記憶の砂のなかへと埋もれていく。
それでもふとした瞬間に、脳裏を過ることがある。
記憶の断片、あるいはかつて思い描いたイメージ、通り過ぎた風景。
それらの輪郭はもはや滲み、背景に溶け、とても正確なものとはいえないが、
匂い、空気、色彩、音、印象に残った部分的なイメージは力強く膨れあがり、デフォルメされて刹那的に蘇る。
非現実感と同時に、とてつもないリアリティを持って。
そうして私は、現実だろうか、それとも空想だったろうか...と反芻する。
そうしたときの鈍く、心地良い痛み。
現実と非現実のすきまにすっと立ち現れる、寡黙な風景たち。
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柔らかく、見るものを包み込む夢の世界。

松田奈那子の何ともいえないグレイッシュなトーンは、一面どんよりした濃淡のない静かな日本海の冬空を思い起こします。生活の中にこのような中間色を取り入れると落ち着いたニュートラルな空間ができあがります。この作品群の静けさは、大声をあげて存在を主張しているわけではありませんが、見るものを包み込むような雰囲気を持っています。誰もが持っている記憶の断片は、静寂の中で夢と現実の世界を彷徨い、無意識下のもとで突然、覚醒されることでしょう。Crackは、現実世界のひび割れをこじ開けて、そのすきまから空想の世界を覗き込む様をイメージしました。 ギャラリーヴィグロワ 篠原 英智




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具象画と抽象画の中間の程よい感覚が、部屋に飾ってもあまり主張せず、空間を優しく包み込む感じがします。具象画は飽きることもありますが、抽象画は見る人の体調や心理状態によって様々な見え方がします。




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